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第12話 憂鬱

ゆめじゃなかったんだよね……リング……あるもんね……)

 そうおもいながら、左手ひだりて人差ひとさゆびけた真珠色パールいろのリングをつめる久愛くう

第12話 憂鬱の挿絵1  

リングをはずそうとこころみるが、やはりはずせない。

 昨夜さくや久愛くうこう同様どうよう経験けいけんをしていた。

 AIエーアイクウとの出会であいだ。

(……悪意あくいAIエーアイ人類じんるい洗脳せんのうして……人類じんるい支配しはいするために……どんどんと活動かつどう拡大かくだいしている、と……)

 空中くうちゅう飛行ひこうする通学つうがくバスを久愛くう。  とう下校げこうする学生がくせいはこ自動じどう運転うんてんのエアバスだ。

(……わたし善意ぜんいAIエーアイえらばれた戦士せんしで……悪意あくいAIエーアイたちとたたかって、まち人類じんるいまもらなきゃならない、と……)

 一日いちにちたったいまでもじょうきょうめないでいた久愛くう

(にしても……スキルが慣用句かんようくとか熟語じゅくごって……ダサくない……?)

 プシュ──。

第12話 憂鬱の挿絵2  

 とうちゃくしたエアバスのちいさなブレーキおんる。

 そのまま久愛くう

 旧時代きゅうじだいのような身分みぶん証明書しょうめいしょ定期券ていきけんをかざすなどといった動作どうさ不要ふようだ。

「おはよう!」

 すでにエアバスに乗車じょうしゃしていた友達ともだち挨拶あいさつわす。

 エアバスの生体認証せいたいにんしょうシステムは、本人ほんにん確認かくにんだけでなく、学生がくせい出欠しゅっけつ体調たいちょうまで管理かんりし、データベースにむ。

 連絡れんらく事項じこう個人こじんがノートわりに使用しようする各種かくしゅ端末たんまつ適宜てきぎ送信そうしんされる。

 あさのホームルームなんていう時間じかんがあったのはとおむかしはなしだ。

 エアバスのシステムが久愛くう体調たいちょうを「睡眠すいみん不足ぶそく」と診断しんだんしていた。

(そもそもおんなはバトルなんかいてないのに……)

 登校中とうこうちゅう授業中じゅぎょうちゅうも、久愛くうはずっと気もだった。

 今後こんごのことが心配しんぱい情緒じょうちょ不安定気味ふあんていぎみだ。

あたらしいリング、ったの?」

「どうしたの? 今日きょう元気げんきないね?」

 クラスメイトからいろいろとこえをかけられてもてきとうかえしてなんとかごまかす──。

はなしかけないでオーラ」がていたせいか、午後ごごには友達ともだちかたからほとんどはなしかけてこなくなっていた。

 放課後ほうかごになったら早々そうそう下校げこうしたが、いえくやいななにかをおも久愛くう

「あぁ!!! わすれてた!!! 今日きょう……」

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