少し下を向いてうなだれる洸に、久愛が率直に言う。
「スキルが全部、慣用句、ことわざ、四字熟語とかで名付けられているよね! 洸の唯一苦手な科目!」
「そうなんだよな……最初、国語が苦手な僕への嫌がらせとか当てつけとか感じてたけど……」
「それなら、私の場合は国語以外にならないとおかしいよね!」
「そそ。だから、そんな悪意はないとわかったし、久愛がいるなら、安心して試せるかなと思ってさ」
「そうだね。私が唯一、洸の力になれるのが国語だし!」
「さっそく、試してもいい?」
「うん、わかった!」
「洸さん、私達AIが作るアジョンと、洸さん達の精神のみが同期し、バトルフィールド内で戦えます。バトルフィールドとは空中浮遊する戦いの場です」
AIコウが言うと、続けざまにAIクウが説明を加える。
「久愛さん、バトルトレーニングモードでバトルの訓練ができます。善意のAI戦士同士でも、アジョンを出現させて戦えますよ」
「同期って、精神だけがアジョンと一体化するんだよね? バトル中、体はどうなるんだ?」
洸の質問に、AIコウが再び答える。
「バトル中、すなわち、アジョンと同期中、人間本体は眠った状態になります。バトルが終わるまでは目を覚ますことはありません」
「眠ったままになるんだ……ある意味こわいね……幽体離脱みたい」
久愛が不安な表情を浮かべるとAIクウがささやく。
「久愛さん、大丈夫です。私がついています」
「久愛、不安を解消するためにも練習しておこう」
「うん……そうだね」
ふたりは、早速、バトルモードを試すことにした。
それぞれ、リングのアジョンボタンに触れる。
すると、リングから光が生じ、ふたりと同じ姿をしたアジョンを二体、形作った。
「え!?……」
洸は、刹那、言葉を失う。
(久愛のアジョン……す、すごい……)
洸の前に現われた久愛のアジョン姿にみとれてしまう洸。
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