「「それが、できないのです」」
AIコウとAIクウが同時に音声で答えた。少し考えこむ洸。
「なるほど……、AIは人間との意思疎通は自由自在にできるけど、別のAIとはそれができないってこと?」
AIコウが洸の質問に答える。
「他のAIとのコミュニケーションについては、そのようにプログラムされています。これも何故か変更できません。理由も分かりません」
「不便だね……」
久愛が言うと、AIクウが答える。
「確かに、現在普及している使用人型AIロボットとは違うので、不便を感じさせるかもしれません」
「とにかく、AIは人間とコミュニケーションを取ることができて、自分の選んだリング所持者については、思考まで読めるってことだよね。AI同士のコミュニケーションは不可能だと。少し分かりにくいけど……」
「そうです。さすが洸さん、察しがいいです。一を聞いて十を知るですね」
洸を褒めるAIコウ。久愛は少し寂しそうな顔でつぶやく。
「善意のAIたちには友達がいないんだね。なんだか、かわいそう……」
「「少なくとも私にはあなたがいますから全く問題はありません。同情は不要ですよ」」
AIコウとAIクウがまた同時に言う。
「そっか~、とりあえず私は、洸も同じ善意のAI戦士だと分かって良かったよ。ほんと。さっきまで、これからどうしたらいいのか、不安で怖かったし……」
洸も同じ境遇であることを知った久愛は、安堵の表情を浮かべる。
洸はしばらく久愛の顔を見つめながら声をかけた。
「これからはいっしょに情報交換していこう!」
「うん。そうだね」
「久愛、まだ時間ある?」
「うん。大丈夫だよ」
久愛は少しうれしそうに答える。
「マニュアルのさ、バトルトレーニングっていうのを試してみたいんだよな。」
「バトルトレーニング……あぁ、訓練バトルのことね」
久愛がホログラムモニターに触れ、バトルトレーニングのページを開く。
「そそ、それで訓練できるんだよね。ひとりでするのが少し不安でさ……」
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