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第10話 執事

 第10話 執事の挿絵1  

 葉月洸乃はづきこうのすけいえとなりにある皐月家さつきけあさ

 チュン、チュン、chunチュン……、チュン、チュン、chunチュン……。

 まばゆいひかりなか小鳥ことりたちのこえる。

 さわやかで清々すがすがしいあさ──。

 小鳥ことりなかには、AIエーアイ搭載とうさいされた人造じんぞうどりAIエーアイバードも混ざっている。

 姿すがたかたちごえほんものそんしょくないので見分みわけにくい。

 これらには、防犯ぼうはんカメラ機能きのうほか鳥害ちょうがい人間にんげんおよばないよう、とりのフンを処理しょりしたり、ごみをらすとりはらったり、細菌さいきんやウィルスを検知けんちしたりする機能きのうまでそなわっている。

 かなりのすぐれモノだ。

 このAIエーアイバードとおなじく、人間にんげん社会しゃかい貢献こうけんする家事かじ使用人型しようにんがたAIエーアイロボットが一家いっか一台いちだいわれてひさしい。

 づきにメイドがたAIエーアイロボットのハヅキがいたのと同様どうよう、この皐月家さつきけにも執事しつじがたAIエーアイロボットのサツキがいた。

 ちなみに、男性だんせいなら執事しつじがたAIエーアイ女性じょせいならメイドがたAIエーアイというようにせいべつことなる。

 いえもの寝坊ねぼうしないようにするのも使用人しようにんがたAIエーアイロボットの責務せきむのひとつだ。

第10話 執事の挿絵2

「おじょうさまきてくださいませ。学校がっこう遅刻ちこくしてしまいます」

 AIエーアイサツキがやさしくこえをかける。

「ニャァ~」

 ねこねむ少女しょうじょこそうとしているのか、ちかづいてきてそばでいている。

「ん……もうちょっと、ねかせてぇ……」

 ベッドでねむっている少女しょうじょあさ苦手にがてだ。

「まもなく限界げんかいラインを超えます。もうわけありませんが、きょうせいしょうモードにはいります」

 空中くうちゅう浮遊ふゆうするベッドで気持きもちよさそうにねむ少女しょうじょよこがわまわAIエーアイサツキ。

 つづいて、両手りょうて少女しょうじょ両耳りょうみみにあてる。

 テン、ナイン、エイト、セブン、シックス……。

 AIエーアイサツキの両手りょうてからカウントおとはじめる。

「わかったよ――、おきるってば!!!おきるからやめて――!」

 少女しょうじょぼけたこえこんがんする。

「ダメです。おじょうさま完全かんぜんきるまでめられません。大変たいへん不本意ふほんいですが、ただいまから爆音ばくおん目覚めざましを作動さどうさせます。失礼しつれい……」

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