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第3部 嗅覚-スメール戦

小説本編

第23話 手を焼く

 間まの抜ぬけた高たかい声こえで嗅覚スメールが叫さけぶ。 ブヒーン、ブヒーン、ブヒーン……。 豚ぶたの鼻息音はないきおんと平ひらたい物体ぶったいが空気くうきを切きり裂さく音おとが混まざって響ひびく。 敵てきの鼻先はなさきから深緑ふかみどり色...
小説本編

第22話 馬耳東風

「ま、マジか。恐おそれていたシチュエーションだ。ぶっつけ本番ほんばんじゃないか」 「このかわいい獣けものさん、敵てきだったんだ……『嗅覚スメール』……」 先さきほどまでの余裕よゆうが嘘うそのように動揺どうようを隠かくせないふたり。「洸こうさ...
小説本編

第21話 嗅覚

 初はつバトルのふたりの目前もくぜんに現あらわれた異形いぎょうの獣けもの。 ふたりは訓練用くんれんようの敵てきだと思おもい込こんでいた。「ブタか何なにか分わからないけど、大おおきいな……」「でも、何なんだか、かわいい。目めだけじゃなく、鼻は...
小説本編

第20話 不意打ち

 洸こうのアジョンが青紫色あおむらさきいろベースなのに対たいして、久愛くうのアジョンは真珠色しんじゅいろベースのドレスだ。 優雅ゆうがさを感かんじさせるブラウスの裾すそはコートのように長ながく、何層なんそうかに重かさなったレースのついたスカ...