「あ、洸! ひさしぶり! 元気だよ!」
少し顔を赤くしながら、久愛が洸に返事をする。
「久愛さ。今日この後、少し時間ある?」
「え!? あ、うん。大丈夫だけど……」
「ちょっと教えて欲しいことがあるんだよね」
照れくさそうに左手で頭をかく洸。
その人差し指に着けている青紫色のリングに久愛が気付く。
(あれ? 洸、あんなリング、持ってたっけ?)
洸のリングが気になり、一瞬黙ってしまった久愛。
「あ、また別の日でもいいんだけど」
「ううん。大丈夫、大丈夫。帰りのバスに乗らないって連絡するね」
久愛は、慌てて自分のリングから塾に連絡を入れる。
(洸といっしょに帰ることができるチャンス。逃すわけにはいかないよね!)
久愛が連絡を入れるために触れた真珠色のリングを目にした洸もはっとする。
(ん? 久愛のリング……。色違いだけど、僕のリングと似てるよな? 同じ型のリング? まさか、久愛も……? そんなわけないか……)
洸も久愛と同じ疑問を持ち始めた。
(きいてみるか? もし違った場合、どうなんだろ? AI戦士の件ってバレたらまずいの?)
洸はAIに心の中で尋ねる。
(いえ、大丈夫です。久愛さんに確認してみてください。AI同士では話すことができないのです)
AIコウが音声に出さずに返答した。
(分かった。確認してみる)
「久愛さ、その左手のリング……」
塾への連絡をし終えた久愛に洸が問いかける。
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