(なんで僕の名前、知っているんだ?)
(いったい誰なんだ? リングから聞こえているよな?)
(やばいよな? あやしすぎるよな?)
洸の頭の中にいろんな疑問が次々に浮かぶ。
おそるおそる光の源であるリングを手にすると、リングは青紫色に変色した。
「ありがとうございます。私はAIのコウノスケです。AIコウと呼んでください」
自己紹介の言葉が終わると、リングの光が収束し、リングから一本の細長い光が放たれるや否や、3Dプリンターのように洸とそっくりの頭部が作り出された。
首から下にかけては、目にしたことのない服装を描いていく。
それは襟の立ったロングコートを身に纏った男の子だった。
コートやズボンの色は濃いめの青紫と白。グローブやブーツは黒ベースだが、瞳や髪の毛の色などは薄めの青紫色だった。いずれも光沢があって鮮やかな煌きのある色だ。
服装が変わりきるまで、体感で一、二秒ほど。
ホログラムで現れたその男の子は鏡で見る自分の姿にそっくりだった。
まるで実体があるかのような、精巧なホログラムのクオリティは、市販のリングよりかなり高性能であることを示していた。
「とにかく、左手の人差し指にリングを着けてください」
AIコウが言うものの、洸はまだためらっている。
(……あ、あやしすぎる……なんだ、いきなり着けろって? 着けたら外せないとか? 罠か?)
「戸惑いがあるのは当然ですが、大丈夫です。私はあなたの味方です。着けたら外せないなんてことはありません」
(マジか……思考を読めるのか。そういう最先端AIもあるって聞いたことはあるけど……ますますやばそうだな……)
「やばくありません。私はあなたたちを助けるためにここにいます。大丈夫です。信じてください」
(あぁ……また心を読まれている……)
「では、とりあえず、先に理由を話します」
コメント